『レコード芸術』(11月号)より一部抜粋



1949年生まれの湯浅卓雄は、今やナクソスの看板指揮者的な存在だ。
新ヴィーン楽派の音楽から、アメリカのマクダウェルに至るまで、
きわめて幅広いレパートリーをフレキシブルに指揮できる力量の持ち主であり、英国
で長く活躍しているだけに、一種の節度と品を備えているあたりも見事である。現
在、首席客演指揮者を務めている北アイルランドのアルスター管弦楽団との相性もす
ばらしい。
 ヴェーベルン集でしっとりした味を押し出すかと思えば、矢代の交響曲では躍動的
なリズミとのびやかに鳴り響く多彩なオーケストラの響きを堪能させてくれる。
今後、「日本作曲家選輯」シリーズでは、アルスター管に加え、ニュージーランド響
(芥川也寸志)、アイルランド国立響(諸井三郎)とのコンビによるディスクも登場
する予定である。