ロースソーン筆者特選 RAWSTHORNE 1905-1971 ピアノ協奏曲 第1番*/コンスタント・ランバートの主題による即興曲/ピアノ協奏曲 第2番* (録音: 2001年11月 北アイルランド、ベルファスト、アルスター・ホール) ピーター・ドノホー(p)*/湯浅卓雄指揮/アルスター管弦楽団 ■ 木下浩二(音楽研究) 孤高の作曲家ロースソーンの作風はヒンデミット風の胡散臭さがつきまとったマニアックなものであった。しかし、ここに聴く2つのピアノ協奏曲はそんな陳腐なイメージを根こそぎ払拭してしまうほどの傑作である。 第一番はバルトークが描いた嵐の中をプロコフィエフが疾風の如く駆け巡るといった感じだが、叙情的な部分はラフマニノフ的であり、孤高とはいえロースソーンが同時代の音楽に多くの影響を受けていたことが分かる。中でも生年が同じであるランバートの影響が最も濃いと思われる。 第二番は前作のスケールをさらに大きくしたもので痛快無比!ユーモアのセンスはサン・サースを凌いでいる。ドノホーが上手過ぎることはいつもの通りで特筆すべきことではないだろう。 ロースソーンは後年ランバート未亡人と結婚し、ランバートの最後のバレエ(ティレシアス)を研究する機会を得た。その結果が見事な即興曲であり、湯浅卓雄の解釈は非常に素晴らしい。 レコード芸術6月号より |